microshovelです。あなたの会社にも「英語が出来る人」はいますよね?
ひょっとすると、あなた自身も社内では「英語が出来る人」と呼ばれているかも知れません。
今日は、いわゆる社内で「英語が出来る人」と呼ばれるのはどういうことなのか?英語を活かした仕事とは何か?について考えます。
英語が出来る人とは?
ほとんどの職場には社内で「英語が出来る人」と呼ばれる人がいるものです。
これが大企業ですと、そもそもある程度英語が出来る人の割合自体が多いですし、平均以上に英語が出来る人は職務として英語を使う部署に配属されることが多いと思います。
なかには社内に翻訳部門があったり、秘書課に所属する人が通訳を行ったりするケースもあるようです。
しかし、テレビや新聞などの大手マスメディアは相変わらず大企業中心の報道をしていますが、実際には過半数の日本人が勤めているのはいわゆる中小企業です。
中小企業では、英語に関する職務範囲が特に明確に決まっている訳ではなく、何となく「英語の案件はあの人」なんてことになりがちです。
実はわたしもそうでした。
わたしが勤めていた会社はそのエリアではかなり大きな会社でしたが、いわゆる大企業ではなく、全国規模で見ると完全な中小企業でした。
わたしは入社時点でTOEICのスコアが930だったので、その時点で社内で一番英語が出来る人になってしまいました。
そしてその日から、内容を問わず英語に関する案件はすべて回ってくる日々が始まったのです…
という訳で、ここでわたしの言う「英語が出来る人」とは、大企業で翻訳部門や秘書課に配属されるような人ではなく、中小企業で英語に関することはほとんど任されるような人のことです。
レベルはさまざまですが、こういう人は日本中にたくさんいると思います。
では、「英語が出来る人」は社内でどんな風に扱われるのでしょうか?
英語が出来る人は社内でどうなるか?
「英語が出来る人」が社内でどんな風に扱われるでしょうか?
わたし自身の経験と感想を大まかに言うと下記の通りです。
- 自分の仕事にプラスで英語の仕事が降ってくる
- 頼む相手は英語が分かっていないので要求がきつい
- 周囲からは何となく優遇されているように思われる
- 実際には給料面ではそんなにプラスはない
まず、中小企業では英語だけをやっていれば良いなんてことは許されませんから、英語を使う使わないに関係なく、当然自分の担当業務があります。
ところが「英語が出来る人」なので、自分の仕事があるのにそこにプラスで英語の仕事が降ってきます。
これは結構きついです。英語の仕事が降ってきたからといって、その代わりに自分の担当業務を誰かがやってくれる訳ではありません。
結局、自分の担当業務は後回しにして残業決定です。
次に、頼んでくる相手は英語が分かっていないので無茶ぶりしてきます。
A4で10枚くらいの文書を渡してきて、「すまないけど、ざっとでいいから訳してくれる?内容が分かればいいから。」 - はい。
「明日の朝までにね」 - はぁ?それだと完全徹夜ですが。
なんて感じです。
社長から直接言われた無茶ぶりも忘れられません。
あるときヨーロッパでとある部品の修理業者を急遽手配しなくてはならなくなったわが社。
わたしは社長から直々に呼び出されましたが、経緯も何も知りません。
社長から「適当な現地業者をいくつかピックアップしてくれ」と言われたわたしは、担当業務外なので詳しいことは分からないまま何となく良さそうな業者をネットで調べて社長に報告しました。
すると社長は一言。「よし。今から電話してくれ!」
いやいや、わたしはその業務のことは詳しく知らないし、いきなり直接電話ですか?「メールを書く手助けをしてくれ」くらいのことは予想して準備もしてましたが。
しかし一介のサラリーマンは社長命令に従うしかありません。
電話に出た相手は最初は「なんだコイツ?」みたいな反応でしたが、幸い話しているうちに話しが通じて何とかなりました。
そのお陰で海外の会社にいきなり電話するという度胸はつきました。いや、同じことをやれと言われてもできないから、度胸がついたとは言えないかも。
まあこれは極端な例ですが、無茶ぶりは日常茶飯事です。
さらに、社長を含む上司に呼び出されることが多いので、周囲からは何となく「アイツだけ優遇されているんじゃないか?」的な空気がありました。
実際には社長のスピーチを翻訳したり、契約書を翻訳したりして、残業しているだけでしたが。
しかも、実際には給料面でそんなにプラスはなかったように思います。
職務手当としていくらかは給料は増額されていましたが、中小企業の場合、この職務手当というものの内容が明確ではありません。
わたしの場合も英語の仕事をどれだけやればどれだけの手当が付くのかが全く明確ではありませんでした。
周囲の話しを総合すると、年齢が同じくらいだと仕事内容に関わらず職務手当は同じくらいのようでした。
しかも、年齢が高くて家族が多いと職務手当が増える傾向があるようなので、職務手当なのか家族手当なのか分かりません。
そもそも年功序列が甚だしい。
ここ数年は働き方改革の流れを受けて中小企業でも多少は事情が変わっているかも知れませんが、わたしが会社勤めをしていた6年前まではそんな状況でした。
世の中では、英語が出来る方が社内評価や転職時にも有利だと言われています。
あるデータでは、年収700万以上の約半数が英語が出来ると回答し、年収1000万以上だとその数字が約70%になるそうです。
同様のデータを基に「英語が出来ると収入がアップする」と言う人が多いようです。
しかし、統計の解釈間違いをしてはいけません。
英語が出来るから年収700万以上な訳ではなく、年収700万以上を稼ぐ能力があるから英語も出来るのだ、と考える方が正解です。
仕事内容とちゃんとマッチした形で英語力を発揮できるのであれば別ですが、英語力そのものだけではそんなに評価されないのが現実ではないかと思います。
英語を活かす仕事がしたいなら
ここまで述べてきたように、ほとんどの中小企業では「英語が出来る人」は苦労の割に報われないというのがわたしの意見です。
まあ自分の経験を一般化しすぎた傾向はあると思うので、中には素晴らしい中小企業もあるだろうことは付け加えておきます。
さて、では英語に興味がある人が、それでも英語を使った仕事がしたいならどうすればよいのでしょうか?
わたしの考えでは大きく次の3つがあります。
- 英語そのものを仕事にする
- 外資系企業に勤める
- 海外で働く
まず、「英語そのものを仕事にする」というのは、通訳者や翻訳者などのように、英語を活かす仕事というよりも英語そのものを仕事にするということです。
英語の先生や、塾の講師、TOEIC教師などもこのカテゴリーに入ると思います。
わたしも退職して翻訳者になったので、このカテゴリーです。
英語そのものを仕事にするということは、完全に実力がモノを言う世界なので常に競争にさらされます。
実力が劣る人には仕事は回ってこない厳しい世界です。
しかし、英語が本当に好きだという人にとってはやりがいのある仕事だと思います。
何しろ好きな英語に毎日触れることができて、しかもその技能や知識は年々積み重なっていくのですから。
通訳者や翻訳者と、英語の先生や塾講師を同じカテゴリーにしましたが、正確には通訳者や翻訳者は「自分がプレイヤー系」で、英語の先生や塾講師は「育てる系」です。
「育てる系」の場合は、本人のキャラクターや対人スキルなどの要素も大きく影響してくるので、厳密には英語だけの仕事ではありません。
しかし、通訳者や翻訳者は完全に英語力そのもので評価される世界です。
翻訳者のことを考えても、よっぽど性格に難がない限り本人の性格などほとんど関係ないと思います。
「性格悪いけど実力はある翻訳者」と「すごく人当りがいいけど実力が劣る翻訳者」がいれば、仕事が回ってくるのは前者です。
次に「外資系企業で働く」です。
わたしは会社勤めをしていたときに割と有名な複数の外資系企業と取引があったので、担当者の方とはお付き合いがありましたが、外資系企業も大変なようです。
よく言われるように比較的簡単に解雇されるのは本当のようです。知り合いの方もとなりのデスクの人がある日突然いなくなったと言ってました。
外資系は給料面が良いと言いますが、給料は役職とともに上がりますからポジションが低いままだと給料も低いままです。
しかも、英語に関して言うと、そもそも外資系では英語が出来るのが当たり前ですから、英語だけでなく経理や営業など別のスキルがないと評価されません。
自分の得意な知識分野や技能があれば別ですが、英語を活かしたいという気持ちだけでは厳しいようです。
まあとにかく英語力だけで入社した後に、死に物狂いで必要な知識を身に付けるという猛者もいるようですが。
最後は「海外で働く」です。
最近、特に若者を中心に海外で働くという選択肢が注目されているようです。
その根底にあるのが、もはや日本国内で働くことが魅力的ではないという事実だと思います。
政府は外国人労働者の受け入れを拡大していますが、政府の言動を見ていて感じるのは「日本で働きたがっている外国人はたくさんいる」という思い込みです。
しかし、各種調査などを見ても分かる通り、外国人から見て日本は働きやすい国ではないようです。
インド人などに日本国内の仕事を斡旋するコンサルタントの方と翻訳の仕事でお付き合いしたことがありますが、その人の話しによると外国人から見た働く場所としての日本の問題点は、言葉の問題を別にすると大きく次の3つだそうです。
- 職務範囲が明確に定義されていない
- 外国人に対する差別がある
- 年功序列や職務規定などのルールが多すぎる
外国人に対する差別以外は日本人の若者にも当てはまるのでしょう。
しかし、実際に日本以外で働くとなると大変なことも多いと思います。
仕事内容にもよりますが、英語は出来て当たり前です。
むしろ英語以外の能力が重要だと感じます。
多少の困難ではあきらめないメンタルとか、何でも柔軟に対応するフットワークの軽さとかですかね。
やる気のある若者にとっては海外で働くという選択肢はますます広がるかも知れません。
さて、今回は日本の会社で「英語が出来る人」であることについて述べてみました。
ちょっとわたし自身の経験談が多めのような気もしますが、何かしら皆さんの参考になる部分があれば幸いです。