microshovelです。うちの次男は本を読むことがあまり好きではなく、英語の多読や読み聞かせをするときにも長い文章を読むと集中力が続かないところがありました。
そんな彼が興味を持って読むことのできるシリーズ本がありますので、今回はそれを紹介します。
具体的な名前を先に言っておくと、Oxford Read and Discoverというシリーズです。
現代っ子の読書離れ?
英語の多読や読み聞かせを語る前に、現代の子ども達はそもそも本を読むことがあまり好きではないという現実があるようです。
小学生の1日あたりの読書時間について調べたある調査によると、「全く読まない(ゼロ)」と答えた児童は約6.3%でした。
これだけを見ると本を読まない子の割合は少ないように感じますが、同じ調査に「30分未満」と答えた児童が49%もいますから、実際にはほとんど本を読まないという児童がたくさんいるというのが本当のところではないでしょうか。
では、子ども達が本を読まない理由は何でしょう?
同調査によると、本を読まない理由として最も多かったのは同率で「TVやインターネットを見ていたから」と、「ゲームをしていたから」です。
なんと45%の子どもがこの2つの理由で本を読む時間がなかったと回答しています(複数回答可)。その次に多かったのが「勉強で時間がなかった」です。
うちの子を見ていても思いますが、やはりYouTubeとゲームでしょうね。
現代の子ども達にとってYouTubeはすでにTVより頼れる情報源になっています。
クラスの話題になるのもYouTubeです。好きなYouTubeチャンネルによってクラス内にグループができているそうです。
YouTubeとゲームで何時間も使っていれば、そりゃ本を読む時間はないはずです。
でも、こうした事実に基づいて「今の子は本を読まない」というのは間違っているような気がしています。
なぜなら各種調査を見ても、子どもが本を読まなくなったのは数十年も前から同じだからです。
確かにYouTubeやスマホなどの影響が大きいのは現代の特徴ですが、YouTubeやスマホが無かった30年前の子ども達は、その代わりにマンガやコミック雑誌、TVアニメなどを読んだり観たりしていただけのことです。
YouTubeやスマホは適切に管理する必要はありますが、別に悪者という訳ではありませんし、YouTubeやスマホのせいで本を読まなくなった訳でもないと思います。
現に約束を守らなかった子どもに対してしばらくスマホを禁止したとしても、空いた時間で本を読むようになる訳でもないですよね?
という訳で、何十年も前から日本人が本を読む時間は減っているというのが真相のようです。
日本語ですら本を読まないのに、英語の本を読める訳はありません。
「うちの子は英語の本を読まない」と嘆く前に、本を読むという行為そのものについて考えてみる必要がありそうです。
本を読まない理由は?
本を読まない理由は人それぞれでしょうが、大きく分けると下記の2つになりそうです。
- 単純に文字を読むこと自体が苦手なタイプ
- 小説などのストーリー(物語)を読むのが苦手なタイプ
「単純に文字を読むこと自体が苦手なタイプ」は、本だけではなく、各種プリントや手紙などの文字だけの文章を読むこと自体が苦手な傾向があります。
その根底にあるのは、「文章を読むことを何か特別な行為のように感じている」ということです。
例えば学校のプリントなどを読むときに、読書が好きな人はいちいち「よし、今からこの文章を読むぞ」と思わなくても読めますし、だいたいの意味が読み取れれば大丈夫と考えます。
ところが、文章を読むのが苦手な人は、親や先生から「本は最後まで読め」と教えられてきた影響なのか、文章を最後まで丁寧に読まなければならないと考えてしまう傾向があります。
その結果、文章を読み始める前に「今から読むぞ」と構えてしまうし、途中で知らない漢字や単語が出てくると「もうダメだ」と挫折してしまうのです。
こういうタイプの場合は、文字だけの本にこだわらず、構えなくても読めるような写真やイラスト入りの本から始めて見るのがよいでしょう。
ちゃんと1冊を最後まで読み切ることができれば、自信になってもっと読めると思います。
もうひとつの「小説などのストーリー(物語)を読むのが苦手なタイプ」は、一般的な文章を読むことに問題はないのですが、小説などの物語を読むのが苦手というタイプです。
このタイプに共通するのは、「登場人物に共感できない」とか「情景を上手く想像できない」ということです。
あるマンガ家は「マンガの1ページは、小説の30枚に相当する」と言いました。
例えば小説なら「雨が降ってきた」と書けばたった7文字で読者の頭の中に雨を降らすことができます。
ところが、マンガだとそうはいきません。
その雨はどんな状況で降っているのか?小雨なのか、それとも土砂降りなのか?背景にはどんな建物が建っているのか?そういったことをひとつずつ具体的に表現していく必要があります。
だからマンガを1ページ描くには小説30枚分の苦労が必要だ、という訳です。
逆に言うと、マンガなら作者が描いてくれる雨の様子や背景の建物などの姿を、小説を読む場合には自分で想像する必要があります。
わたしの次男もこのタイプで、マンガは良く読むのですが、小説などの物語はほとんど読みません。
別に無理やり小説を読む必要はありませんが、せめて本自体は読むようになって欲しいといろいろ試した結果分かったのは、彼にはノンフィクションが向いているということです。
次男は昔から物語よりも、ポケモンキャラクター図鑑のようなカタログ的な本の方が好きな傾向がありました。
また、登場人物に感情移入するよりも、事実を淡々と説明してある本の方が読みやすいようです。
本には大きく分けて「フィクション」と「ノンフィクション」があります。
「ストーリー」と「ドキュメンタリー」といっても良いかも知れません。
(なお、日本ではノンフィクションは本のことで、ドキュメンタリーはTVや映画などの映像のことだという区分が普通ですが、最近は「ノンフィクション映画」とか「ドキュメンタリー小説」と言われることもあり、その区分もあいまいになっているようです。)
ストーリー(物語)は最後まで読み通さないと面白さが分かりませんが、ノンフィクションだと好きなページだけ読んだりすることもできます。
これまではOxford Reading TreeやI Can Read!のシリーズを使って多読や読み聞かせをしていたのですが、次男のためにもっと良いシリーズがないかと探したところたどり着いたのがOxford Read and Discoverシリーズです。
Oxford Read and Discoverシリーズ
Oxford Read and Discoverは、Oxford Reading Treeと同じ出版社のOxford University Pressから出版されている小学生向けのノンフィクションリーダーシリーズです。
細かくレベル分けされており、フルカラーで写真がふんだんに使われているので、とても読みやすい本です。
レベル毎に説明に使われる語彙数(見出し語)が制限されており、レベル分けは以下のようになっています。
見出し語 | 平均語数 | 英検レベル | |
レベル1 | 300 | 700 | 5級 |
レベル2 | 450 | 850 | 3~4級 |
レベル3 | 600 | 1,300 | 3級 |
レベル4 | 750 | 1,700 | 準2級 |
レベル5 | 900 | 3,350 | 準2~2級 |
レベル6 | 1,050 | 3,750 | 2級 |
内容は以下の3つの分野に分かれています。
- The World of Science and Technology(科学技術系)
- The Natural World(自然科学系)
- The World of Arts and Social Studies(社会科学系)
レベルは6つで、それぞれに3つの分野がありますから全部で18のカテゴリーに分かれており、それぞれのカテゴリーでいくつもの本が出版されています。
このシリーズの良いところは、鮮やかな写真が豊富なこと、どこから読んでもよいこと、重要語は繰り返し出てくるように設計されているので単語を自然と覚えることなどです。
後半のページには、内容に関するクイズなどのアクティビティや簡単なライティングの練習も付いていますから、やる気のある子どもはさらに理解を深めることができます。
物語があまり得意でないうちの次男もこの本はよく読みます。最近は毎日読み聞かせをしています。
ちなみに動物好きな次男のお気に入りはレベル1の『Young Animals』と『Schools』です。
物語だと始めから最後まで読まないといけませんが、このシリーズだと好きなところだけを読めるので気に入っているようです。
このシリーズのもう一つの特徴は、いま話題のCLIL(内容言語統合型学習)を強く意識した内容になっているということです。
CLIL(クリル)というのは、Content and Language Integrated Learningの略で、要は理科や社会などの教科と英語の語学学習を統合して「英語で学ぶ」というアプローチです。
「英語を学ぶ」だけではなく、「英語で学ぶ」ようにした方が効果が高いというのは以前から言われていたことで特に目新しいことではないと思いますが、それが英語教育法の1つとして理論化されて導入されつつあるということだと思います。特にヨーロッパで広がっているようです。
素晴らしい方法だと思いますが、英語で他の教科を学ぶというのはかなりハードルの高いことですし、下手をするとどちらも中途半端になる可能性があるので、わたしは特に難しく考えず「単純に興味のある本の方が内容が頭に残るだろう」というスタンスでやっています。
実際にうちの子は自然科学系の本に偏る傾向があるのですが、別に学校の勉強ではないので、興味のある本を読めばよいと思って放っています。
レベルは6つあるので、小学1年から始めて毎年1つずつレベルアップしていけば卒業までに全部終わると考えがちなのですが、レベル5や6は結構レベルが高いので、中学卒業までに全レベルをクリアできれば十分なのではないでしょうか。
レベル6の本をしっかり読めるようになれば英検2級合格も可能なレベルです。
最近は少しでも早くレベルアップした方が偉いというような傾向がありますが、言語学習に関しては、必ずしも早い時期に出来るようになった方が偉いとは言えません。
小学校に入る前に数百語の英単語を覚えていた子が、中学校に入る頃には覚えた単語をすっかり忘れていたというのも良くある話しです。
幼児期に学んだ英語がなかなか身に付かないというのは、幼児の英語教育で良くある悩みです。
わたしの考えでは、英語学習で大切なのは「ゆっくりでも良いから確実に積み重ねること」です。
そのためには、単に会話練習などをするだけではなく、「内容の分かっているものを繰り返し読む」というプロセスが欠かせないと考えています。
Oxford Read and Discoveryシリーズは、そのための教材としてとても優れています。
読書が苦手な子どもにこそおすすめできるシリーズです。
今日はOxford Read and Discoverシリーズについて紹介しました。
皆さんの参考になれば幸いです。